大容量HDDを搭載した動画対応ポータブルプレイヤーを比較する

■動画再生と搭載された液晶ディスプレイ
動画というものは、音楽と違って目と耳で楽しむものであり、音楽は人間の耳が高周波が聞き取りにくい、もしくは聞こえないという事もあり結構ごまかしのきくものだが、目はそれほどアバウトにつくられておらずそれほどごまかしがきかないという。
そうした事から音楽よりも目で見る映像はそれぞれ比較すると違いがわかる。
しかし今回紹介している3モデルはそれぞれの特徴があり非常におもしろく、動画の楽しみ方によって各社差別化を図っている。
ただ、テレビ出力なども視野にいれるとその扱える解像度やビットレートの違いに大きく差ができてしまうのでそれらも踏まえて紹介していきたいと思う。

■各種動画フォーマット

フォーマット 拡張子 解説
MPEG1
(Moving Picture Experts Group)
mpg ビデオCD規格であるコンパクトディスク1枚に1時間程度のデジタル動画とMDレベルの音声を記録することを目的として作られた規格。
オーディオ規格にはLayer1,2,3があり、ビデオCDではLayer2が使用されている。このオーディオ部分のみ使用したのがご存知MP3である。
MPEG2
(Moving Picture Experts Group2)
mpg 基本技術の大部分はMPEG1と変わらないが、MPEG2はHDTV等での用途を想定しているため、インターレス方式などの点においてMPEG1と異なっている。
DVD−Videoやデジタルテレビ放送・HD-DVD・Blu-ray・D-VHSなど多用途に利用されている。
MPEG4
(Moving Picture Experts Group)
mp4
m4v
一言でMPEG4と言えども「Part2」と「Pert10」で区切られているだけでなく、MPEG4を応用したH.263・H.264・DivX・Xvidなど多彩なフォーマットが存在する。
MPEG4では主に低ビットレートで使用することを目標に規格化されている。
なお、MPEG3がないのは、標準放送向けのMPEG2とHDTV向けとされていたMPEG3の基本技術がMPEG2と同じだった為、最終的にMPEG2に吸収・統合された。
H.264
(MPEG4 Part 10 Advanced Video Coding)
mp4
m4v
基本技術はMPEGと同じだが多数の改良が施されており、MPEG2などより2倍以上の圧縮効率を実現するといわれており、携帯電話などのポータブル用途向けの低ビットレートからHDTVクラスの高ビットレートまで幅広く利用されることを想定している。
Motion JPEG 各フレームごとの映像ををJPEG方式で圧縮たものを連続して記録・再生をする。MPEGよりもデータサイズは大きいく圧縮効率が悪いがフレームが独立しているので編集しやすい。
Quick Time mov Appleが開発したプレイヤーとフォーマットで、オーディオやビデオのファイルやインターネットのストリーミング再生として使用されている。
動画撮影できるデジタルカメラではほとんどがこの方式による記録が使われており、今やwindowsでも必須のフォーマットとなっている。
iPodで使用するソフト[iTunes]でも必須となり、また[5世代目iPod]でも再生可能となっている。
Windows Media Video wmv マイクロソフトが開発したWindows標準となるビデオコーデック。
MPEG4をベースとして改良を重ねたWMVは、WMV9のソースコードとしてVC-1(VC-9)として標準規格として候補し、このコーデックは次世代DVD規格としてBlu-Ray Discにも採用されている。
WMV9ではDivX同様MPEG2の半分程度のビットレートでほぼ同等の画質が得られるとしている。
また、HDTVにも対応した「WMV HD」も登場している。
DivX avi MPEG4技術をベースとした独自のフォーマット。
MPEG2より圧縮率が高く、半分程度のビットレートでも同等の画質を得られるとされており、2時間程度の動画データをCD-R1枚に圧縮できることで一気に人気を集めた。
最新バージョンのDivX6ではDivX Media Formatに対応し、XSUB字幕・対話式ビデオメニュー・複数音声・チャプター・XTAGビデオタグなどサポートし、単に圧縮率の高いだけのフォーマットからDVDーVideoのように扱いやすいフォーマットになっている。
XviD avi オープンソースだったDivXが商用製品路線へ移行したのに反発するプオグラマーによってオープンで開発を継続されたのがXviD。
しかしそのプロジェクトも現在は開発停止状態となっている。なおベースはDivx4.0となっている。
3GPP/3GPP2 3gp
3g2
第三世代携帯電話の業界団体である3GPPと3GPP2は、カラー画像や動画を入れられるようにしたMMS(Multimedia Messaging Service)にMPEG4技術を採用しているフォーマット。
映像にはH.263またはMPEG4 Pert2。音声にはAMRまたはAACが利用されており、コンテナにはMP4ファイルフォーマットを使用している。

■それでは3モデルの対応フォーマットを見てみましょう。

対応フォーマット 30GB(MA002J/A・MA146J/A) 60GB(MA003J/A・MA147J/A)
H.264 解像度 〜320x240 ビットレート 〜768kbps 
MPEG4 解像度 〜480x480 ビットレート 〜2.5Mbps 
Quick Time(mov) 解像度 〜320x240 ビットレート 〜768kbps 
解像度 〜480x480 ビットレート 〜2.5Mbps 
i
ポータブル機として割り切っており、通常のMPEG1・2やDivXなどのファイルのは一切対応していなく、わざわざポータブル機専用ともいえるH.264などのファイルに変換しなければいけない。
実際変換には膨大な時間を要し、寝る前にセット、朝起きたら出来上がりという感じとなる。
テレビ番組など頻繁に入れ替えるような使い方をする場合、次第にこの変換がウザくなるのではないだろうか。
とはいえ、最近のビデオ録画で使用するキャプチャーやソフトはこれらの環境で使用する事に配慮がされている物も多く、自動変換や、最初からこれらの製品に使用できるフォーマットで記録をしてくれる。
それを考えるとそれほど苦にならだいだろう。
そう、自分に合うように周りの環境を変えていけばいいだけだ。
ただ、DVDを変換するといった作業は相変わらず時間がかかるのは仕方ない。
扱える解像度はやはりポータブル機と割り切ってか、320x240が通常で、一部480x480fが使用できる程度となり、実際大画面に出力すると画質の悪さがはっきりわかる。
しかしiPodで見る限り、発色は地味だが良好に楽しむ事ができるだろう。
また、iPodの仕様表を見るとファームウェアのアップデートにより、将来的に扱えるフォーマットが増える可能性もあうとのことなのでこれに期待したい。
映像を外部モニターに出力する時はヘッドフォン端子の4極ミニプラグから出力する方法と、Dockコネクターからの出力の2種類あるので使用する環境に合わせて選べるのがいい。
特にDockに接続した場合、置いただけで接続できるだけでなく、ワイヤレスリモコンなどの付加機能も搭載されているのでビデオだけでなく、家庭内で音楽を楽しむのにも重宝するだろう。
こういったオプション面でiPodは非常に強い。
iPodのバックライトは非常に明るく、良好だが、その反面表示時間は選べるものの、明るさが調整できないので暗いシーンで楽しむのは明るすぎてちょっと問題があるように思えた。

Apple iPod 30GB

Apple iPod 60GB

■動画重視設計ともいえるフォーマットと美しい液晶
対応フォーマット ZEN Vision:M
WMV 解像度 〜320x240 ビットレート 〜700kbps 
MPEG1 解像度 〜680x480 ビットレート 〜1.15Mbps
MPEG2 解像度 〜680x480 ビットレート 〜2.5Mbps
MPEG4 解像度 〜720x480 ビットレート 〜3Mbps
DivX4/5 解像度 〜720x480 ビットレート 〜3Mbps
XviD 解像度 〜720x480 ビットレート 〜3Mbps
Moton JPEG 解像度 〜680x480 ビットレート 〜2.5Mbps

何と言っても他のモデルより扱える動画フォーマットが多いのが特徴。
フォーマットが多いということはあの時間のかかるフォーマット変換が必要ない。すなわち今もっている資産をそのまま使用できるまさに時間のない現代人にやさしい。
しかもZen Vision:Mはこれだけではない。
これら3機種の液晶ディスプレイ解像度はいずれも320x240ドットだが、iPodやGigabeatで使用されている液晶ディスプレイの発色数が65000色に対し、Zen Vision:Mで使用されているディスプレイはなんと262144色を発色できるというのだ。
約4倍程度の発色数で画面は小さいながら鮮やかに映し出し、実際iPodなどのディスプレイと比較してもその鮮やかさははっきりとわかる。
しかしこのサイズと解像度でそこまでの美しさが必要なのか?事実iPodやgigabeatも十分美しく、比較しなければ特に気にもならないだろう。
動画フォーマットにしろ、高発色液晶を使用している点からZen Vision:Mは動画を重視とした設計がされているように感じた。
対応する解像度とビットレートは、さすがにフォーマットが多彩なので高解像度・ハイビットレートでも問題なく再生できる。
同じ映像のファイルを家庭用とポータブル用の2種類用意しなくてもいいだけでなく、Zenに入れた動画データをそのまま大画面テレビに出力しても他のモデルより高画質に楽しむ事ができる。
ただ、それが特徴なだけにZenのHDD容量が30GBモデルしかないのが残念に思えた。
変換の必要がない分、入れ替えは頻繁に必要となってしまう。

Creative Media ZEN Vision:M

■Windows Media Playerとの連携と独自の縦マウント液晶
対応フォーマット gigabeat-s30/s60V
WMV 解像度 〜320x240 ビットレート 〜800kbps

gigabeat-sの特徴であるWindows Mobile software for Portable Media CenterによるWindowsとの連携性を重視し設計は、Windows Media Videoのみの動画が扱えるといういたってシンプルな構成となっており、比較的少ないビットレートで高画質を表現できるDivXのようにデータ量を極力少なくし、逆にタイトルを多く詰め込めるのが特徴だ。
しかしその反面、WMVのみというのはMPEGやDivXと比較してしまうとダウンロードなどで使われる動画フォーマットの世界では一般的ではない。
せめてiPodもそうだがせめてMPEGくらいは扱えるようにしてほしい。
とはいえ時間はかかるが転送ソフトとして使用するWMP10で変換できる。
解像度やビットレートについても最大が320x240まででビットレートも800kbpsまでと他のモデルと比較してしまうと貧弱に感じられるが、実際gigabeatで見る限り液晶もクオリティーが高く非常に見やすい。
しかし大画面に映し出すとやはりもう少し高い解像度とビットレートが扱えるといいなと思える。
液晶は、3モデル中では0.1インチ小さく2.4インチを縦型にマウントされている。
視聴は縦横どちらでも楽しめるようになっているが、やはり縦で使うのが一般的な機械を横で使うのは使いづらい。
例えば携帯電話で写真を撮影するとしよう。写真は普通横撮り一般的なのだが、携帯電話で撮影した写真ってどれも縦長の写真だと思いませんか?
最終的なできより、実際の使いやすさなんですよ。
ですから携帯電話は縦にマウントされた液晶で、本来電話というもの自体が縦で使用すものですので用途は違うもののそれををわざわざ横にして使用するのって自然じゃないんですよ。
gigabeatは縦マウント状態で動画を表示してしまうと画面上下の黒帯が大きく画面が小さくなってしまいます。
こういった点から縦マウント液晶は好き嫌いがわかれるところでしょう。
しかし音楽再生でタイトルを一度にたくさんの情報を表示できるので使いやすく、他のメニューでも操作がしやすいなどいい点もいっぱいある。
テレビに出力したい場合は注意が必要で、30GBモデルにはTV-OUTができないのだ。
30GBはFMラジオも非搭載とコスト面でなにかと削られてしまうのは仕方ないが、TV-OUTまで削ってしまうとは・・。
60GBをメインとした展開をしているのであれば、ブラックのみしかない60GBのカラーラインナップというのも何ともおかしいく感じてしまう。

igabeat-s 30GB
東芝 gigabeat-s 60GB

第5回 豊富なオプションで使い倒せ!(毎週金曜日追加更新予定) 急遽変更しました。

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